オリジナルウェアの見積りに出てくる「シルクスクリーン」「DTF」などの方式名は、 仕上がり・価格・作れる枚数を決める大事な選択です。業者比較の表に登場する代表5種を、1つずつ解説します。

1. シルクスクリーン

色ごとに「版」を作り、インクを刷り込む昔ながらの方式。1色ずつ版を重ねて多色を表現する。

向いている用途

クラスTシャツ・チームTシャツなど、同じデザインをまとまった枚数作る場面の定番。発色が濃く、洗濯にも強い。

ロットと価格の傾向

版代が最初にかかるため、枚数が多いほど1枚あたりが安くなる。目安として20〜30枚以上で本領を発揮し、数枚だけだと割高になりやすい。

注意点

色数が増えるほど版代も増える。写真やグラデーションの再現は苦手で、その場合は後述のインクジェットやDTFが向く。

2. インクジェット(DTG)

布用のプリンタで生地に直接インクを吹き付ける方式。紙に印刷するのと同じ感覚で、版を作らない。

向いている用途

写真・イラスト・多色デザインをそのまま再現できる。1枚からの注文や、1枚ずつ絵柄を変える用途に強い。

ロットと価格の傾向

版が無いため小ロットでも価格が変わりにくい。逆に大ロットではシルクスクリーンに単価で負けることが多い。

注意点

淡色の生地が得意。濃色生地には白インクの下地処理が必要で、その分価格が上がる業者が多い。風合いは生地に染み込むぶん柔らかい。

3. DTF(フィルム転写)

専用フィルムにデザインを印刷し、熱と圧力でウェアに貼り付ける方式。近年急速に普及している。

向いている用途

フルカラー対応で、濃色の生地やポリエステルにもきれいに乗る。小ロットの多色デザインに万能型として使われる。

ロットと価格の傾向

版不要のため1枚から対応しやすい。まとまった枚数でも極端に安くはならない。

注意点

プリント面がフィルム由来のわずかな光沢・厚みを持つ。大きなベタ面は通気性が下がるため、デザインによっては窮屈な着心地になることがある。

4. 昇華転写

熱でインクを気化させ、ポリエステル繊維そのものに染み込ませる方式。生地の上に乗せるのではなく「染める」。

向いている用途

ユニフォームの全面プリントの定番。ゲームシャツ・ビブスなど、スポーツウェアの多くはこの方式。プリント面の手触りが無く、色落ちやひび割れが起きにくい。

ロットと価格の傾向

デザインデータから直接転写できるため、1枚ごとの背番号・名前の変更に強い。チームオーダーに向く。

注意点

白〜淡色のポリエステル生地専用。綿には染着しないため、綿Tシャツには使えない。

5. 刺繍

糸でデザインを縫い込む方式。プリントではなく縫製に近い加工。

向いている用途

企業ロゴ・ポロシャツ・キャップ・ブルゾンなど、高級感と耐久性を求める場面の定番。洗濯・摩擦に最も強い。

ロットと価格の傾向

型(刺繍データ)の作成費が最初にかかる。一度作れば追加発注に流用できるため、継続的に作る制服・ユニフォームに向く。

注意点

面積が大きいほど価格が上がる。細かい文字やグラデーションの再現は苦手で、写真の再現はできない。

迷ったときの目安

まとまった枚数で色数が少ないならシルクスクリーン、少量多色ならインクジェットかDTF、 ポリエステルのスポーツウェアなら昇華転写、ロゴの高級感なら刺繍。 どの方式に対応しているかは業者ごとに異なるため、業者比較の表で 方式の対応状況もあわせて確認してください。